Beatlemania's Blog ~ビートルズ研究~

ビートルズ・ファンがビートルズについて調べたことを書くブログ

The Beatles「White Album」いつビートルズは仲違いしたのか。なぜ解散したのか。-168- 【Helter Skelter】

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Arthur Brown,single



【 Helter Skelter 】 -7-

 


第3日目の録音とメンバーの状態について

 


【資料】

1968年9月10日
録音3日目

最終オーバー・ダブ

あらゆる類の楽器が乱暴にプレイされた。第21テイクにオーバー・ダブ

ジョンがベースを弾き、下手くそなサックスを吹きマル・エヴァンズも同様に
素人くさいトランペットを披露する。
全編を覆い尽くすディストーションやフィード・バック、さまざまなつぶやき

Revolution 9がジョンによる音楽の暴力だとすればHelter Skelterはポールのそれだ。

クリス・トーマス
「ポールがボーカルを録っている間、ジョージ・ハリスンは灰皿で火を燃やし
それを頭上に掲げてスタジオを走りまわりアーサー・ブラウンになりきってたんだ

(The Complete Beatles Recording Sessions P.192)



録音3日目、録音最終日。この日で完成する。
様々な効果音がオーバー・ダブされた。

Revolutionと同じようにディストーションが施された。
この資料ではポールにとってのRevolutionであり音楽の暴力だとしている。

ジョージ・ハリスンは燃える灰皿を頭に掲げて走り回った。
録音現場自体が混沌と叛乱の現場になっていたのだろう。

この曲の録音をメンバーは楽しんでいる。祭りのような気分だったのだろう。
ジョージもポールの曲ではしゃいでいる。メンバー全員が楽しんでいる。

クリス・トーマスは新しいビートルズ担当のスタッフだった。
スタッフは一緒に楽しめてないのだろう。醒めてみているスタッフが対照的だ。

 


【資料】

ジョージのリード・ギター、リンゴの追加のドラム、ステレオ・ミックスの終わりだけに
聞こえるピアノ、いろいろなボーカルとノイズ、マル・エヴァンズのトランペット
ジョンの耳障りなサックスがオーバー・ダビングされた。

(That Magic Feeling,The Beatles' Recorded Legacy P.211)

 


混沌と叛乱を音で表現するためにたくさんの効果音が加えられた。
カオスを表現するためにわざと耳障りな楽器の音を出した。

Revolutionの対の曲だ。
ビートルズのメンバーも当然そのつもりで録音している。

ジョンはRevolution9の続きだと思ってサックスを吹いたのだろう。
ジョンの目指す音もポールの目指す音と一致している。

混沌と叛乱。
革命の表現、Revolutionの音と同じ音だ。

高揚したジョンの革命の混沌を表すサックスのひどさ。
こんなひどいサックスは心が通じ合った仲でないとできない。

混沌の表現をバンド・サウンドで鮮やかに作り上げる。
セッション最初の録音であるRevolutionと同等の見事さ。全く不仲は感じられない。

この時点でジョンとポールに一寸の亀裂もみられない。
音作りのパートナーとして最高の状態だ。

 


【資料】

演奏

リード・ギターはポールとジョージ。
ディストーションをかけトーンを落としている

間奏のソロはポールのプレイ
ベースはジョン。

左チャンネルにかたまって2本入っている。
リンゴのドラム

エンディング近くのブラスはジョンとマル・エヴァンズがでたらめに吹きまくっている。

The Beatles Sound Book Vol.3-2 Official Numbers P.41)

 


ポールはギターを弾いている。
間奏のギター・ソロはポールの演奏だ。

ベースはジョン。ドラムはリンゴ。
4人で結束し意欲的に真剣に演奏している。

 


【資料】

間奏やエンディングもポールのギターだろう

(真実のビートルズサウンド P.412)

 


間奏のギター・ソロはポール
エンディングのギターもポールとしている。