The Beatles「White Album」いつビートルズは仲違いしたのか。なぜ解散したのか。-359- 【Happiness Is A Warm Gun】
【 Happiness Is A Warm Gun 】 -12-
変拍子の多いこの曲をどのように録音したのか
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【資料】
Mother Superior jump the gun
ここの拍子はバラバラで、四分の三が三小節あったあとで
四分の三が二小節と四分の四が1小節つづく。
(ビートルズ全曲解説(ティム・ライリー著) P.301)
:
Mother Superior jump the gun
この部分の拍子はバラバラだ。
この部分は同じ歌詞とメロディの繰り返しなのに
拍子はそれぞれ異なっている。
○
【資料】
きれいに清書された歌詞はマルの手になるもので、次々に変化する
拍子の数も書き込まれている
(ビートルズ・リリックス名作誕生 P.350)
:
この資料に掲載されているマル・エヴァンズの手書きの歌詞に
拍子の変化が書き込まれている。
この部分には(3-3-3)(3-3-4)と書き込まれている
最初のフレーズは9拍、次のフレーズは10拍だ。これが繰り返される。
この手書きの歌詞にはこの部分以外の拍数も書き込まれている。
変拍子が多いので合わせるのが難しく拍子数を書き込んだのだろう。
○
【資料】
ジョンが3拍子で歌う
When I hold you in my arm
のリズムで、リンゴのドラムがその前の4分の4拍子のまま
2拍4拍でスネアを叩いている
リンゴのドラムだけはその前のフレーズ
Happiness Is A Warm Gunからずっと4分の4拍子を叩いている
:
When I hold you in my armの部分
リンゴのドラムは4分の4拍子で叩いている。
その前のフレーズであるHappiness Is A Warm Gunも
同じ4分の4拍子で叩いている。
ドラムは同じ4分の4拍子で叩いているのに
When I hold you in my armからボーカルとギターの拍子が変わる。
○
【資料】
サビの5小節目(1分48秒=When I hold you)以降はドラムが4分の4拍子の
エイト・ビートでメインボーカル以外が8分の6拍子、ジョンはそのどちらとも
違うノリでシャウトするというポリリズムで進行して、2分3秒のところで
また4分の4拍子に戻るというとんでもない構造になっている
これはおそらくベーシック・リズム・トラックのドラムのみを
使っているから
(ビートルズ 20世紀文化としてのロック P.236)
:
When I hold you in my arm からの部分。
1分48秒から2分3秒までの部分。
ドラムは4分の4拍子で叩いている。
ギターは8分の6拍子に拍子が変わる。
ジョンのボーカルはそのどちらでもない拍子で自由に歌っている。
そして2分3秒でドラムもギターもボーカルも4分の4拍子に戻る。
この部分はどのように録音したのだろうか。この資料では
ベーシック・リズム・トラックのドラムのみを使ったのだろうとしている。
つまりベーシック・リズム・トラックを録音しドラムのみを再生する。
それに合わせて8分の6拍子でギターをオーバー・ダブする。
ギターと一緒にあるいはボーカルのみを後でオーバー・ダブする、
ということだろうか。
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【資料】
Happiness Is A Warm Gun
テイク19
White Album(スーパー・デラックス・エディション 2018)
6枚目9曲目
この1曲のためにスーパー・デラックス・エディションを買う人がいても
不思議じゃない
(レコード・コレクターズ 2018年 12月 P.91)
:
この曲はアウトテイクが公式発表されている。第19テイクがWhite Album
(スーパー・デラックス・エディション 2018)の6枚目9曲目で聞ける。
第19テイクなので録音第1日目のものだ。編集してベーシック・リズム・
トラックのベスト・テイクを作成するずっと前のものだ。
この第19テイクと収録テイクを聞き比べてみると
ピッチはほぼ同じであり演奏もほぼ同じだ。
ドラムは4分の4拍子でギターが8分の6拍子になるところも
第19テイクですでにそうなっている。
録音の初期から変拍子は決まっていた。あとは演奏がうまくいくように
話し合ったり歌詞に拍子を書き込んだりして工夫した。
第19テイクは収録テイクとピッチ、演奏ともほぼ同じであり
最初から最後まで通して演奏している。
第19テイクという初期のテイクですでに最後まで通して演奏している。
変拍子も同じだ。
ビートルズはここから70テイクまで繰り返し録音した。
それは変拍子も含めてアレンジを模索するためではなかった。
ただ演奏ができるようになるための練習だった。
変拍子が多くあったから4人が合わせるために打ち合わせしながら練習した。
練習をしていく過程でのテイクも全部録音したのだろう。
そのうちの第19テイクだけ公開リリースされた。
その第19テイクは収録テイクと演奏がほぼ同じでアレンジはすでに
完成している。なのにその後第70テイクまでテイクを繰り返している。
このことはドラムは4分の4拍子でギターが8分の6拍子になるところも含めて
全て同時演奏で録音したということを示すのではないだろうか。