Beatlemania's Blog ~ビートルズ研究~

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The Beatles「White Album」いつビートルズは仲違いしたのか。なぜ解散したのか。-346- 【Piggies】

Scouse



【 Piggies 】 -11-

 


なぜジョージはOne more timeをリヴァプール訛りで喋ったのか

 


【資料】

ジョージがリヴァプールなまりまるだしで
意地悪く「もう一度」という

ビートルズ全曲解説(ティム・ライリー著) P.305)

 


最後にジョージが「One more time」(もう一度)と喋る。
その発音がリヴァプール訛り(Scouse)がひどい。

リヴァプール訛り(Scouse)はリヴァプールを中心とした地方の方言
英国の中でもとてもユニークで特徴的な発音と言葉を持つ

ビートルズは当然デビュー前はリヴァプール訛り(Scouse)で話していた。
曲作りにさいしてビートルズリヴァプール訛り(Scouse)を使用していない

リヴァプール訛り(Scouse)の言葉を使用していないし発音も標準の発音だ。
だからビートルズの曲は歌詞が聴き取りやすい。

でも、ジョージはこの曲の最後にでてくる「One more time」を
リヴァプール訛り(Scouse)で発音する。

標準の発音であれば「time」はタイムと発音する。
リヴァプール訛り(Scouse)ではツァイムと発音する。

ここでジョージは
ワン モア ツァイムと発音している。

このツァイムはリヴァプール訛り(Scouse)である。
これは間違いない。

また、「more」は標準ではモーだ。
ジョージはモアと発音している。

ただ、このモアはリヴァプール訛り(Scouse)かどうかは不明だ。
その他多くある標準ではない方言での発音の仕方かもしれない。

 


【資料】

Piggies

テイク12 インストゥルメンタル・バッキング・トラック

ジョンが楽しそうにI'm fabulous,fabulous vegetarianなんて
言っている

ジョージもとても楽しそう。

White Album(スーパー・デラックス・エディション 2018)
6枚目8曲目

レコード・コレクターズ 2018年 12月 P.93)

 


テイク12は収録ヴァージョンのベーシック・リズム・トラック
オーバー・ダブの前の段階でボーカルはなくインストのみのヴァージョン

この第12テイクはスーパー・デラックス・エディション 2018
6枚目の8曲目で聞ける。

ジョンは楽しそうにI'm fabulous,fabulous vegetarianと喋る
ジョンは演奏はしていない。でも録音現場にはいる。

演奏はしていないがジョンは上機嫌だ。
反体制の歌詞をもつこの曲の録音に嬉々として参加している。

ジョンのこの喋りの後にジョージが続いて喋る。
その喋りが以下だ。

One more, one more time
Not that far back

ここでのone more timeが収録ヴァージョンの最後に出てくる。
この第12テイクと同じように収録ヴァージョンでもジョージが喋っている。

収録ヴァージョンで突然ジョージが思いついて付け加えた言葉ではなく
ベーシック・リズム・トラックの録音時にすでに喋っていた。

ただし喋ったのは曲の最後ではなく始まる前の冒頭だった。
このone more timeをジョージは気に入って収録ヴァージョンの最後に入れた。

ジョージはこのone more timeをリヴァプール訛り(Scouse)で喋っている。
収録ヴァージョンも第12テイクの冒頭もそうだ。

また、その後に続けてジョージが喋っている
Not that far backもリヴァプール訛り(Scouse)だ。

こちらはone more timeよりも強いリヴァプール訛り(Scouse)で喋る
Not that far backとはとても聞き取れない。

ジョージは「Not that far back」を
ナッス ザッソ フォー バック と発音している。

リヴァプール訛り(Scouse)では「t」が最後にある時
トではなくツになるという法則がある。

ここでのジョージの「Not」の発音は私はナッスと聴き取ったが
ナッツ、ナッツォと混ざったような発音だ。

同様に「that」はザッソ、ザッツォが混じったような発音だ。
また、「far」はフォーと発音している。

リヴァプール訛り(Scouse)では軽いアはオになる。
だからフォーなのだろう。

backはリヴァプール訛り(Scouse)ではバッハとなるはずだ。
kは最後にある時はハ~フになるからだ。

でもジョージはこのbackは標準の発音、バックと発音している。
リヴァプール訛り(Scouse)でもバリエーションがあるのだろう。

あるいはジョージが単純に間違えたのかもしれない。
どちらにしろジョージのここでの喋りはリヴァプール訛り(Scouse)が強い。

 


【資料】

One more time (もう一度)

ストリングスの再演奏を促すジョージの言葉。
リヴァプールなまりがひどい

(ビートルソングス研究読本 P.37)

 


収録ヴァージョンに残ったのはOne more timeだけだったが
これだけでも明らかにリヴァプール訛り(Scouse)だ。

英国人が聞いたらすぐにわかっただろう。
どうしてジョージはリヴァプール訛り(Scouse)を使ったのか。

これまでデビューからずっとビートルズは曲にリヴァプール訛り(Scouse)を
使用していない。注意深く出さないようにしていた。

それがこの曲で最後だけ突然でてくる。
当然、故意である。

リヴァプールアイルランドに近い。
アイルランドからの移民の多い町であり労働者階級の町だ。

リヴァプール訛り(Scouse)は労働者階級の象徴だ。
ジョージは労働者階級だと主張した。

俺達は労働者階級でありお前たち資本主義の浮かれたブタとは違う。
お前たちみたいな金と社会的地位にしか興味のない放蕩主義のブタとは違う。

そうジョージは主張しているのだ。
その主張はジョンとも共有しているものだ。

だからこそベーシック・リズム・トラックの時からジョンは浮かれており
ジョージはひどいリヴァプール訛り(Scouse)で喋っている。

第12テイクの冒頭を聞くと2人はとても楽しそうだ。思う存分リヴァプール
訛り(Scouse)で喋り思う存分資本主義のブタを嘲笑したのだろう。

 


【資料】

リヴァプール訛り(Scouse)

 いっぽうで ’t’の子音は語中では ’r’ の子音で代用される。 
後者は米語にも見られる特徴であり、 たとえば ’letter’は「レラー」、 
’water’は 「ウォラー」 になる。 
だからビートルズは ’Let It Be’のサビを 「レリッビー、 レリッビー」 と
歌っているのである。 

(goken news 2006年12月 P.11)

 


Let It Beはリヴァプール訛り(Scouse)では 「レリッビー」となる。
これはリヴァプール訛り(Scouse)がもともと米語の影響を受けているからだ。

米語では「レリッビー」
英語では「レティッビー」となる。

ビートルズが歌っている 「レリッビー」はもともと米語に影響を受けている
リヴァプール訛り(Scouse)での発音だ。

 


【資料】

興味深いことに後にビートルズ・ナンバーになる曲が
このセッションで初めて公にされた。
ポールはテイクの合間に「Let It Be」をやっていた。

(The Complete Beatles Recording Sessions P.195)

 


このセッションでLet It Beが披露されている。
ポールがセッションの合間に演奏した。

Let It Beはビートルズはレリッビーと歌っている。
リヴァプール訛り(Scouse)での発音だ。

ビートルズはデビューからずっと標準の発音で歌ってきた。
デビュー時は米語(アメリカ英語)で歌った。

中期(Magical Mystery Tour)から英語(イギリス英語)が出るようになった
そしてWhite Albumのセッションではリヴァプール訛り(Scouse)が出現する

ビートルズのメンバーはリヴァプール訛り(Scouse)に誇りを持っている。
恥ずかしいとは微塵も思っていない。

デビュー時の米語から英語、そしてリヴァプール訛り(Scouse)へ。
どんどんリヴァプール出身の自分たち自身へと回帰している。

 


【資料】

1968年10月10日
Piggies
第3回録音

第12テイクへのオーバー・ダブ
8人のミュージシャンによるストリングスを加える

(The Complete Beatles Recording Sessions P.200)

 


ストリングスをオーバー・ダブして完成
マーティンがスコアを書いた。