The Beatles「White Album」いつビートルズは仲違いしたのか。なぜ解散したのか。 -207- 【While My Guitar Gently Weeps】
【 While My Guitar Gently Weeps 】 -5-
第2回録音でのプロデュースは誰なのか
○
【資料】
1968年8月16日
第2回録音
While My Guitar Gently Weeps録音
リメイク
(The Complete Beatles Recording Sessions P.186)
:
第1回録音の第1テイクから3週間後に録音が再開される。
アレンジをどうするかアイデアが固まらなかったのだろう。
第1回録音の第1テイクとは全く異なる方向の演奏であるため
この資料ではリメイクとしている。
○
【資料】
7月25日のアコースティック・ヴァージョンはデモとしてのみ
供された。
(The Complete Beatles Recording Sessions P.186)
:
3週間前の第1回録音での第1テイク、ジョージの弾き語り
通称アコースティック・ヴァージョン
ジョージはアコースティック・ヴァージョンの第1テイクを発展させた
アコースティック・テイクでは完成させなかった。
第1テイクはあくまでもメンバーに曲を提示するためであり
ジョージはバンド演奏で完成させることを選んだ。
ジョージは弾き語りで完成させることもできたはずだ。1ヶ月前にはポールが
Blackbirdを弾き語りで完成させているのを聞いているはずだからだ。
でもそうしなかった。
ジョージは弾き語りを選ばなかった。
○
【資料】
この日の第1~14テイクはドラムス(リンゴ)、ベース(ポール)
オルガン(ジョン)、ギター(ジョージ)から成る新しい
ベーシック・リズム・トラック
(The Complete Beatles Recording Sessions P.186)
:
ジョージはこの曲をバンドとして演奏することに決めた。
第2回録音でバンド演奏でのリズム・トラックを14テイク録音した。
バンド演奏の構成はドラム、ベース、オルガン、ギターだった。
ここではオルガンはジョンとなっている。
第1回録音の第1テイクからオーバー・ダブされているオルガンはここまで
ジョージ、ポール、ジョンと3人が演奏したとなっている。
正規版ヴァージョンまで残る重要な楽器なのだがここまで
誰が演奏したかは特定はされていない。
○
【資料】
1968年8月16日に14テイクを録った。
続いて第14テイクを第15テイクにミックス・ダウン。
(Complete Beatles Audio Guide P.118)
:
この日の録音はブートレグでもリリースされていない。
音源を聞くことはできない。
確認することはできないがおそらく第1テイクからバンド演奏なのだろう。
バンドとして全員で一緒に演奏したのだろう。
○
【資料】
テープを収めたボックスには
とはっきり書いてある
(The Complete Beatles Recording Sessions P.186)
:
この日の第2回録音を録音したテープ。このテープを収めたボックスには
「ビートルズのプロデュース」とはっきりと書かれている。
この意味はジョージ・マーティンがプロデュースしていない。
他のスタッフもプロデュースをしていないという意味だ。
ジョージ・マーティンはこの曲をプロデュースしていない。
ビートルズのプロデュースとはっきりテープに書かれている。
すでに8月16日の時点でマーティンはプロデュースから外れていた。
セッション開始から2ヶ月半ですでにマーティンははっきりと録音の蚊帳の外だ。
ジョンだけでなくジョージもマーティンをプロデュースから除外した。
ジョージもはっきりとした意志をもってマーティンをはじめスタッフを拒絶している
この曲をプロデュースしたのはジョージ・ハリスン。
White Albumでは作曲者がプロデュースをする。その原則に則っている。
混沌と叛乱の時代精神に影響されてジョンはプロデュースの権利を奪い取った。
自分の曲を自分の思い通りにする。希望した音にする。自分の曲を取り戻す。
ジョンの影響は間違いなくジョージ・ハリスンにも及んでいる。
ジョージも自分の希望した音にする自分の曲を自分のものにすることに必死だ。