The Beatles「White Album」いつビートルズは仲違いしたのか。なぜ解散したのか。-345- 【Piggies】
【 Piggies 】 -10-
この曲のアレンジの目指すものはなにか
○
【資料】
Piggiesの第11テイクを8トラック・テープにコピーし、これを
第12テイクとしてオーバー・ダブを録音。
この曲を完成させる。
最初のスーパー・インポジションはジョージのリード・ボーカル
「play around in」「damn good whacking」
の部分にADTを施す。
ジョージはサビのヴァースで鼻をつまんで歌っているかのような
鼻声のサウンドを作りたがった
(The Complete Beatles Recording Sessions P.195)
:
初日のベストは最終テイクの第11テイクだった。
翌日、8トラック・テープにコピーしてオーバー・ダブをした。
まずジョージのリード・ボーカルをオーバー・ダブ
後で「play around in」「damn good whacking」にだけADTをかける。
この部分を強調する。
ジョージはこの部分を気に入っている。
後にチャールズ・マンソンもこの部分を気に入っていたことが報道される。
マンソンもジョージも気に入っていた部分が同じだったのだ。
ジョージはこの部分をわざわざADTで強調すらしている。
ジョージは困惑しただろう。
60年代の恐怖と悪、負の部分を象徴する事件の引き合いにだされた。
しかも首謀者マンソンが気に入っていた言葉をADTで強調しているのだから。
○
【資料】
このオーバー・ダブが行われている間、コントロール・ルームでは
ジョン・レノンがテープを使って豚の鳴き声のテープ・ループを
作っていた。
(The Complete Beatles Recording Sessions P.195)
:
ジョンは演奏には参加していない。
豚の鳴き声のテープを作っていた。
ジョンは反体制の歌詞であるこの曲を気に入っている。
歌詞も手伝っている。
ジョンはもっと反体制の歌詞の内容を強調したかった。社会で
ただ浮かれている資本主義の「ブタ」をもっとからかいたかったのだろう。
豚の鳴き声の効果音を作成する。
ジョンはこの曲に多くの貢献をしている。
○
【資料】
第11テイクを8トラック・テープへコピーして第12テイクとした。
そしてまずジョージはリード・ボーカルをとった。
ブリッジの部分は強いフィルターをかけた。
次にジョージとジョンとポールで最後のヴァースに大げさなコーラスを
つけた
(That Magic Feeling,The Beatles' Recorded Legacy P.218)
:
最初にリード・ボーカルをオーバー・ダブ
ブリッジにはフィルターをかけて「鼻声のサウンド」にした。
それでも足りず最後のヴァースは3人でわざと大げさにコーラスをつけた。
反体制の歌詞の毒を増幅させて社会につきつけたかったのだろう。
この曲のアレンジは全てそうだ。反体制の歌詞を強調して
資本主義の浮かれた「ブタ」の気に障るように装飾している。
アウトロでわざわざジョージは「One more time」と言ってストリングスを
促す。オペラのような演奏があり最後にブタの鳴き声で締める。
オペラは彼らの象徴だ。文字通り「もう一度」彼らを卑しめたのだ。
何度も執拗に繰り返し資本主義の浮かれた「ブタ」をからかっている。