The Beatles「White Album」いつビートルズは仲違いしたのか。なぜ解散したのか。-314- 【Glass Onion】
【 Glass Onion 】 -8-
なぜストリングスが入ったのか
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【資料】
1968年9月26日
第5回録音
ジョン・レノンはGlass Onionのモノ・ミックスを聴いて何か物足りないと
思ったのだろう、サウンド・エフェクトを加えることにした。
結局使用されなかった。
(The Complete Beatles Recording Sessions P.196)
:
こうして4人全員が演奏したロックン・ロールは完成した。
4人全員が演奏したのは5曲ぶりだった。Yer Blues以来だった。
ジョンは出来たばかりのモノ・ミックスを聴いて物足りなかった。
SEを加えることにした。
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【資料】
CD版 Anthology3、1-20
ジョージ・マーティンの休暇中に作られたこのGlass Onionの
モノ・ミックスには作曲者のジョンがみずから集めた効果音が
ちりばめられていた。
電話の音、1音だけ鳴るオルガン、ガラスの割れる音、BBCテレビの
サッカー解説者ケニス・ウィルステンホルムが「ゴール!」と叫ぶ声、
そのうしろで聞こえる観客のどよめきなどである。
(Anthology 3 CD付属解説書 P.15)
:
ジョンが完成したテイクにSEを加えたヴァージョンが
CD版 Anthology3で聞ける。1枚目、20曲目。
マーティンは休暇中で録音に参加していなかった。
SEはオルガン、ガラス、テレビの実況でジョン自らが集めた。
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【資料】
CD版 Anthology3にはリハーサル・テイクと、最後にBBCのサッカー解説者の
叫び声やガラスの割れる音の入ったモノ・ミックスの2トラックが収録される
(The Beatles Remastered CD Guide P.140)
:
CD版 Anthology3にはイーシャー・デモとSEを加えたヴァージョンの
2曲を聞くことができる。
○
【資料】
休暇から戻ったジョージ・マーティンは彼の留守中に録音された
5曲(BirthdayとPiggiesを除く)のアセテート盤を受け取った。
これを聴いた彼はGlass Onionにストリングスを加えることを
ジョンに提案する。
(The Complete Beatles Recording Sessions P.196)
:
マーティンが休暇から帰ってきてセッションに復帰した。
マーティンは留守中の録音を聞いた。
彼はGlass OnionにはSEよりもストリングスがあうと考えた。
そこでその事をジョンに提案した。
自分のいない間に曲ができあがっていく。
マーティンにはあせりもあっただろう。
何とかして録音に関わりたかっただろう。
長期休暇から帰ってきて何もしないでは本当に居場所がなくなってしまう。
ジョンに提案するには勇気がいっただろう。このセッションでは
最初からこれまでずっとジョンにまともに取り合ってもらえてない。
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【年表】
1968年9月3日
ジョージ・マーティンが休暇をとる
1968年9月6日
While My Guitar Gently Weeps
完成
1968年9月10日
Helter Skelter
完成
1968年9月16日
Glass Onion
1968年9月17日
I Will
完成
1968年9月18日
Birthday
完成
1968年9月25日
Happiness Is A Warm Gun
完成
1968年10月1日
ジョージ・マーティンが復帰
:
9月3日~10月1日までマーティンが休暇をとった。
この間に完成した曲は7曲だった。
マーティンはこの7曲に関与していない。
While My Guitar Gently Weepsのエリックのギターをみていない。
Helter Skelterの狂ったような混沌と叛乱をみていない。
Glass OnionもI WillもBirthdayもPiggiesもみていない。
White Albumで最も美しく結実した実験的で野心作の
Happiness Is A Warm Gunにも関与していない。
マーティンはアセテート盤で初めて聞いた時その素晴らしさに
圧倒され途方にくれただろう。彼はその場にいないのだ。
マーティンに渡されたアセテート盤の5曲とは
While My Guitar Gently Weeps
Helter Skelter
Glass Onion
I Will
Happiness Is A Warm Gun
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【資料】
1968年10月10日
第6回録音
完成
ストリングスを加える
(The Complete Beatles Recording Sessions P.200)
:
マーティンは長い休暇から帰ってきた。
長い間、ジョンとマーティンは顔を合わさなかった。
マーティンには後がなかった。
ストリングスをさせてくれ、その願いは真剣そのものだっただろう。
冷却期間も功を奏したのだろう。
ジョンはマーティンのストリングスを受け入れる。
○
【資料】
ジョージ・マーティンのアレンジによる
エンディングのストリングスが不気味だ
(The Beatles Sound Book Vol.3-2 Official Numbers P.31)
:
ストリングスの導入は成功した。
この曲を高め、マーティンは踏みとどまった。