The Beatles「White Album」いつビートルズは仲違いしたのか。なぜ解散したのか。 -206- 【While My Guitar Gently Weeps】
【 While My Guitar Gently Weeps 】 -4-
歌詞の変遷から見るジョージのこの曲への拘り
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【歌詞】
1968年7月25日
録音初日
第1テイク(CD版 Anthology3の1-16曲目)
I look at the floor and I see it needs sweeping
:
最初のヴァースの歌詞はイーシャー・デモのヴァージョンの歌詞から書き換えられた
ジョージは歌詞1行を手直しし上記の正規版ヴァージョンと同じ歌詞に変えた。
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【資料】
第1テイク
歌詞にはアルバム・ヴァージョンにはないしめくくりとなる最終節も含まれ
(The Complete Beatles Chronicle 1965-1970 P.354)
:
I look from the wings at the play you are staging
As I'm sitting here, doing nothing but aging.
第1テイクでは最後のヴァースに上記の2行が加えられている。
この歌詞はイーシャー・デモのヴァージョンとは異なっている。
イーシャー・デモからの2ヶ月間でジョージが検討し変更した。
そしてまた正規版では変更となる。
正規版ヴァージョンではこの2行はカットされている。
ジョージは作ってはみたものの不要だと判断した。
ジョージは歌詞をデモから完成までの間に何度も変えていっている。
ジョージはこの曲に拘りがあり良いものにしようと躍起だった。
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【資料】
ジョージは自分の曲がとりあげられるのを辛抱強く待っていた。
2ヶ月近くたったこの日、4曲のうちの1曲目のレコーディングを
ようやく始めた。
この日は完全なテイクを録音するというよりはリハーサルに終始
(The Complete Beatles Chronicle 1965-1970 P.354)
:
ジョージの曲はWhite Albumのセッション開始から2ヶ月間とりあげられなかった。
ジョージにとっての初めての自分の曲の録音だった。
待ちわびた録音に当然ジョージは一番の自信作をあてただろう。
2ヶ月間一人でアレンジを考えてきたジョージには特別な思い入れがある。
この曲にジョージはかけていただろう。
イーシャー・デモでも最初に録音している。
ジョージはこの曲をいいものにしたかった。
簡単に扱われたくなかった。台無しにされたくなかった。
だから、まず一人で第1テイクをとった。
すでにデモはイーシャー・デモで録っているのにもう一度とった。
こういう曲だ。こういう風にしてくれという提示だろう。
ジョンとポールが好き放題にするのを牽制したのだろう。
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【資料】
テイク2 アコースティック・ヴァージョン
ポールがハーモニウムを演奏
コード弾きで満足する男ではないので時々独創的な方向へ
(レコード・コレクターズ 2018年 12月 P.94)
:
White Album(スーパー・デラックス・エディション 2018)
CD5枚目(セッションズ)2曲目で聞ける。
ここでのテイク2とはいつ録音されたテイク2なのだろうか。
この曲のテイク2は2つ存在する。
一つは録音初日にテイク1に続いてジョージが弾き語ったテイク2
もう一つは8月16日録音第2日目に録音したテイク1から14のうちのテイク2
ジョージが録音初日のセッションを気に入らなかったのだろう。
仕切りなおしだという意味なのだろう。録音第2日目をテイク1からとした。
録音第2日目はバンド演奏でのリズム・トラックだと資料にある。
だからこのテイク2は録音第2日目のテイク2ではなく録音初日のテイク2だ。
だからアコースティック・ヴァージョンなのだろう
テイク2が2つあって紛らわしいからわざわざ付け足したのだろう。
ただ、資料には録音初日にテイク2を録音したという記載はない。
White Album(スーパー・デラックス・エディション 2018)で新たに発表された。
この資料ではポールがハーモニウムを演奏しているとしている。
独創的に弾いているとしている。確かにハーモニウムの存在感が大きい。
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【歌詞】
テイク2 アコースティック・ヴァージョン
ジョージ・ハリスン
「たぶん彼にもマイクを1本立てた方がいい」
:
テイク2を歌い始めてすぐにジョージは歌を中断して
上記のセリフを言う。
その後すぐにまた歌い始める。
ジョージはこのセッションを仕切っている。
ジョージもまたジョンの混沌と叛乱の時代精神に影響を受けている。
スタッフに任せるのではなくジョージ自らが欲しい音を作っている。
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【資料】
このテイク(第1テイク)は映像版 Anthology 7のエンディングにも用いられた
映像版 Anthology 8には第1テイクの最終部と演奏後のジョージのコメントが
収められた
(The Beatles Remastered CD Guide P.143)
:
映像版 Anthologyにも収録されている。
この曲のジョージの弾き語りは印象深い。