The Beatles「White Album」いつビートルズは仲違いしたのか。なぜ解散したのか。-165- 【Helter Skelter】
【 Helter Skelter 】 -4-
なぜ録音初日のブルース・ヴァージョンのベースはジョンなのか
○
【資料】
バックは2本のエレクトリック・ギターとベースとドラムがまとめてトラック1
ポールのボーカルがトラック2に入っている。
テイク2のいいところをとって編集されたヴァージョンが
CD版 Anthology3に入っている。
(That Magic Feeling,The Beatles' Recorded Legacy P.190)
:
演奏はエレクトリック・ギターが二人とベースとドラムスという構成。
ドラムスはリンゴ。ギターの一人はジョージで間違いない。
他のギターとベースがそれぞれジョンなのかポールなのかが不明。
はっきりと明記されている資料はない
White Albumに収録されている本番の録音はジョンがベースでポールがギターを
弾いている。だからここでも同じ編成なのかもしれない。
このリハーサル・テイクのブルース・ヴァージョンは本番とアレンジが全く異なる。
曲のコンセプト自体が全く違うはずだ。だから本番の編成とは無関係かもしれない。
そうすると普通の編成もありうる。
ジョンがギターでポールがベースなのだろうか。
最初はこのブルース・アレンジでいこうと思ったのだろう。
でも気に入らなかった。だからその後しばらく保留されたのだろう。
初日の録音の3テイクのうち第2テイクをCD版 Anthology3で聞くことができる。
ただし12分35秒あったものを編集で短縮している。
○
【資料】
ウォルター・エヴェレットの推測では
ジョンがベースを弾きポールがギターを弾いているとしている。
そのためにギターは素人っぽくベースはずっとEで弾いている。
2ヵ月後、ビートルズははりきってリメイクする。
(That Magic Feeling,The Beatles' Recorded Legacy P.190)
:
この資料ではジョンがベースを弾きポールがギターを弾いたとしている。
そのために慣れていないぎこちない感じが出ているとしている。
ポールはそれを狙ったのだろう。初期衝動の荒削りのRock'n Roll。
ハプニングをよしとするどうなるかが未知数のバンド演奏を目指した。
初日録音のブルース・ヴァージョンからすでに未知数のバンド演奏を
目指したのだとしたらジョンがベースを弾きポールがギターだっただろう。
○
【資料】
第2テイク
スロウでヘヴィなブルース。
13分近い演奏だ。
有名な27分ヴァージョンは第3テイク。
13分版と27分版はよく似ている。
27分版は13分版が長くなったと思ってもらえばいい。
White Album(スーパー・デラックス・エディション 2018)のCD4 12曲目
(レコード・コレクターズ 2018年 12月 P.94)
:
この日の3テイクはすべてブルース・アレンジだ。
CD版 Anthology3で聞いてわかるように演奏はスロウでヘヴィなブルース。
第2テイクの編集前の全録音がWhite Album(スーパー・デラックス・エディション
2018)CD 4セッションズの12曲目で聞ける。
この曲はEsher Demosでのデモ作成がない。
だからアレンジは決まっていなかった。
アレンジを探るためにブルース・ヴァージョンを演奏したのだろうか。
そして決まらなかったのだろうか。
いや、そうではなくこの時点ではブルース・アレンジでいこうと思っていたのだろう。
なぜならビートルズは録音に直接結びつかない録音を今までしたことがないからだ。
未知数で荒削りなブルースによるRock'n Rollを目指したのだろう。
楽器演奏を入れ替えてまでポールは粗野でワイルドな音にしたかった。
ポールはつい最近演奏し耳にしたジョンのRevolution 1と9に影響されている。
Revolutionに負けない粗野で荒削りで破壊力のある汚いRock'n Rollにしたい。
セッションが始まってすぐに思いついたHelter Skelter、ワイルドなブルースでいこう。
ブルース・ヴァージョンを作成して思う。まだまだこの曲は破壊的になるはずだ。
そう思ってポールはその後しばらくの間、2ヶ月間この曲を完成させないでおいた。
アレンジのアイデアが固まるまで放置しておいたのだろう。