The Beatles「White Album」いつビートルズは仲違いしたのか。なぜ解散したのか。- 57- 【Blackbird】
【 Blackbird 】 -15-
ポールは当時、黒人公民権運動について語ったのか
○
【資料】
わたし(ハンター・デイヴィス)はO2アリーナの客席で、
これはアメリカの黒人たちの苦境に思いをいたし、公民権運動の成功と
平等な権利の獲得を願って書いた曲だというポールのMCを聞いた。
しかしこの曲がリリースされた1968年当時、わたしは一度も彼からこうした
説明を聞いたことがなかった。
(The Beatles Lyrics 名作誕生 P.357)
:
ポールは自らこの曲を黒人女性の人権擁護と解放をテーマに
していると近年のライブで紹介している。
確かにポールは黒人の公民権運動を支持していると思う。
支持しているかどうかと訊くと支持していると答えるだろう。
ただ、この曲がインスパイアされたものなのかどうか。
作成した時にそう意図したものかどうか。
ポールがMCで最近しばしばそう説明しているのは確かだ。
でもそれは後で意味を持たせて紹介するようになっただけではないのか。
著者ハンター・デイヴィスは当時にそういう話はなかったとしている。
身近で取材を続けてきた著者が当時は一度も聞いたことがない。
○
【資料】
ハンター・デイヴィス
ビートルズの公認伝記執筆者
1967年1月にブライアン(エプスタイン)の自宅で本人に会った。
1年半近くビートルズについて回り両親、親族、友人にインタビューし
15万語以上に及ぶノートを取った。
伝記は1968年9月14日、発売
(ビートルズ百科全書 P.212)
:
ハンター・デイヴィスはビートルズと正式に契約して
ビートルズの伝記を作成した。
1967年から1968年9月までつきっきりで取材している。
この期間のビートルズのことを最もよく知っている。
その彼がこの曲の黒人公民権運動に関することを聞いていない。
当時にそういう話はなかったということだろう。