Beatlemania's Blog ~ビートルズ研究~

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The Beatles「White Album」いつビートルズは仲違いしたのか。なぜ解散したのか。-357- 【Happiness Is A Warm Gun】

ビートルズ A Day In The Life



【 Happiness Is A Warm Gun 】 -10-

 

「When I hold you in my arms」の部分はどこから来たのか

 


【資料】

1968年9月23日
Happiness Is A Warm Gun
第1回録音

これはそれぞれにテーマの異なる3曲の未完成曲を
一つにまとめて作った曲だ。

ジョンが3曲を1曲にまとめるのを決めたのは、
この作品をスタジオに持ち込む以前だったらしく、
第1テイクからすでに完成版と同じ形で演奏されている

(The Complete Beatles Recording Sessions P.195)

 


この曲は異なる3曲を一つにまとめて作っている。
ジョンは曲の構成を決めてから録音に臨んでいる。

 


【資料】

I'm So Tiredを録音している時の楽しそうなようすが入っている。
テイクの終わり近くで、ジョンが話し出しているのだが、
その声が速度といいイントネーションといい、後にHappiness Is A Warm Gunに
出てくるものとそっくりなのだ。
このデモテープの中でジョンはからかい口調で半ば口ずさむように
こう歌っている。

When I hold you in my arms(君をこの腕に抱けば)
When you show each one of your charms(君の魅力を一つ一つみせてくれれば)
I wonder should I get up(僕は起き上がって)
And go to the funny farm(精神病院に行くのだろうか)

ビートルズ A Day In The Life P.388)

 


上記の音源は「ホワイト・アルバム」(3CDデラックス・エディション)の
3枚目(Esher Demos)、8曲目に収録されている。

1968年5月にEsher Demos(イーシャー・デモ)として録音した音源だ。
ジョンは他のメンバーと共にI'm So Tiredをデモ録音した。

そのデモの終わり近くにジョンの語りが入っている。
その語りがHappiness Is A Warm Gunの一部にそっくりだ。

その一部とは以下の部分。

When I hold you in my arms (Oo-oo oh yeah)
And I feel my finger on your trigger (Oo-oo oh yeah)
I know nobody can do me no harm (Oo-oo oh yeah)

比べてみると1行目は全く同じだ。
だだしin my armsではなくin your armsに聴こえる。

つまりジョンはI'm So Tiredのデモの語りの中で1行目を
When I hold you in your armsと歌っている。

ジョンがオノ・ヨーコを抱いているのではなく、ジョンが子供のように
オノ・ヨーコに抱きしめられていると自分自身をからかったのだろう。

続いてジョンは
(君の魅力を一つ一つみせてくれれば)
(僕は起き上がって)
(精神病院に行くのだろうか)
と語る。

ここはおそらくデモ録音時のアドリブなのだろう。
ジョンは自虐的に自分を精神病院に行くのだろうかと表現している。

これはジョンの本音だろう。自虐で自分自身をからかってみせているが
ジョンは本当に追い詰められていたのだろう。

ジョンはもう限界だった。おかしくなりそうだった。精神が崩壊しそうだ
どうなってしまうのかわからないという気持ちだったのだろう。

このI'm So Tiredのデモでの部分がその後に録音した
Happiness Is A Warm Gunの一部になった。

その部分はI'm So TiredのデモでもHappiness Is A Warm Gunでも
ジョンが本音を語っている部分だ。

Happiness Is A Warm Gunではジョンはオノ・ヨーコがいれば
もう怖いものはない、と歌った。

もう限界でおかしくなりそうで精神が崩壊しそうな中で
オノ・ヨーコがいればもう怖いものはないと歌う。

これもジョンの本音だ。
ダメになりたくない、その恐怖心と戦う中で

確かなもの、オノ・ヨーコにもたらされた母親を抱いて
大丈夫だと自分自身に言い聞かせている。

 


【年表】

1967年12月~1968年1月
Kenwood Demos(ケンウッド・デモ)

1968年5月
「ジ・アメリカン・ライフルマン」誌の1968年5月号
Happiness Is A Warm Gunのタイトルが載る

1968年5月25日~5月29日
Esher Demos(イーシャー・デモ)

1968年6月~9月
ジョンの友達や仲間と行ったアシッド・トリップで
記事も参考にしながら歌詞を話し合って決めていった

1968年9月23日
第1回録音

 


Kenwood Demos(ケンウッド・デモ)にて「I need a fix」
「Mother Superior」が録音されている。

「ジ・アメリカン・ライフルマン」誌の1968年5月号を見て
Happiness Is A Warm Gunのフレーズを手に入れる

Esher DemosでのI'm So Tiredのデモの中で
「When I hold you in my arms」の部分を語る。

友達とのアシッド・トリップで上記以外の部分の歌詞を
記事も参考にしながら話し合って決める。

以上でHappiness Is A Warm Gunの歌詞が完成する。
ジョンは全てを完成させてから本番の録音に臨んだ。

 


【資料】

他のメンバーをうならせた曲がHappiness Is A Warm Gunだ。
何曲かをまとめて完成させた。その点でI Am The Walrusと同じだ。

セクションA:リシケシュで習ったフィンガー・ピッキング奏法
セクションB:デレク・テイラーのフレーズが元になっている
セクションC:ブルージーな「I need a fix」の部分
セクションD:「Mother Superior」
セクションE:I'm So Tiredのイーシャー・デモからの喋りと
アメリカの銃雑誌の見出しから着想したDoo Wopコーラス

(That Magic Feeling,The Beatles' Recorded Legacy P.214)

 


この資料ではこの曲を5つの部分に分けている。この資料でも
「I'm So Tiredのイーシャー・デモからの喋り」が使われたとしている。

 


【インタビュー】

ジョン

感じの違う3つの曲から少しずつ取ってくっつけて
あらゆるタイプのロック・ミュージックを盛り込もうとしたんだ

(ビートルソングス P.138)

 


ジョンはこの曲をあらゆるタイプのロック・ミュージックを盛り込もうと
したと発言している。

 


【インタビュー】

ジョン

この曲が大好きだ
美しい歌だと思う。3つの別々の曲をつなぎ合わせてひとつの曲を
作ったんだ。
あらゆる種類のロック音楽を駆け抜けているみたいで
どの部分も好きなんだ

(書籍 The Beatles Anthology P.306)

 


ジョンはこの曲が好きだ。
ジョン自ら3つの曲をつないだと発言している。

 


【資料】

トーマスの監督の下で録音が始まった

ザ・ビートルズ・マテリアル vol.1 P.110)

 


ジョンのWhite Albumでの最高傑作、少なくとも最大の自信作。
ジョージ・マーティンは参加していない。

プロデュースはクリス・トーマスが行った。
マーティンは完成したものを聞いた。