Beatlemania's Blog ~ビートルズ研究~

ビートルズ・ファンがビートルズについて調べたことを書くブログ

The Beatles「White Album」いつビートルズは仲違いしたのか。なぜ解散したのか。-153-  【Cry Baby Cry】

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Geoff Emerick



【 Cry Baby Cry 】 -13-

 


ジェフ・エメリックはなぜやめたのか。

 


【資料】

ジェフ・エメリックは急速に険悪化する雰囲気に耐え切れず
このセッションの途中で退席した

Ob-La-Di,Ob-La-Daのレコーディングでポールがボーカルを録り直した時
(おそらく7月15日だろう)もジョージ・マーティンが意見したら

ポールは無礼な態度で「じゃあこっちに来て歌ってみろよ」みたいなことを言った。

「僕はもうたくさんだ。僕は辞めるよ。こんなのもういやだ」って言った。

(The Complete Beatles Recording Sessions P.177)

 


7月15日にOb-La-Di,Ob-La-Daの歌い方についてジョージ・マーティンに指導を受けた。
その時のポールの返事は目上の人に対してはありえない返答だった。

その言葉はスタジオを凍りつかせただろう。
それまでも険悪だったビートルズとスタッフの関係を破壊したのだろう。

少なくともジェフ・エメリックはそう感じた。
彼は耐えられなくなりもうたくさんだという言葉を残して辞めた。

 


【資料】

悪い雰囲気はLove Me Do以降のすべてのレコーディングに参加して数々の重要な貢献を
果たしてきたスタジオ・エンジニアリングのジェフ・エメリックにもついに影響した。

三人による「言い合いに罵り合い」に耐えられなくなったエメリックは
ポールによるOb-La-Di,Ob-La-Daのレコーディングの途中でやめてしまった

ポール・マッカートニー ザ・ライフ P.277)

 

ジェフ・エメリックビートルズの音作りに数々の重要な貢献をしてきた。
Revolutionのディストーションをジョンの希望通りに作り出したのも彼だ。

この資料ではビートルズメンバー3人による「言い合いに罵り合い」が原因としている
しかしビートルズのメンバーはこれまで険悪な状態になっていない。

ポールがリンゴのドラムパートを演奏したなどのメンバー間にとって
望ましくないことは今まで見てきたとおりわずかだがおこっている。

だがほんのわずかでメンバー間の状態を悪くするほどではない。「言い合いに罵り
合い」をしていたのはビートルズのメンバー間ではなくビートルズとスタッフの間だ。

 


【資料】

ジョン
僕らはなにも君に文句を言ってるんじゃないし、君に不満があるわけでもない
ただEMIが気にくわないんだ。

(The Complete Beatles Recording Sessions P.177)

 


ジョンは確かにジェフ・エメリックに不満はないだろう。
無理難題であるRevolutionのディストーションをジョンの希望通りに作り上げたのだから

ジョンは誠実に個人的にジェフ・エメリックに不満はないと言っている。
ジョンとビートルズを支配している会社、EMIが気に入らないとしている。

ジョンとビートルズはEMIに反旗を翻していた。
混沌と叛乱の時代精神のもと革命をおこしていた。

支配からの離脱。自由を求めていた。
エンジニア、プロデューサーはEMI側の人間であり倒すべき相手だった。

 


【資料】

1968年7月16日に行なわれた吹込みではジェフ・エメリック
ビートルズとはもうこれ以上仕事はできないと思った。

ビートルズとの間に険悪な雰囲気が生じていると思ったのだ。

ビートルズ百科全書 P.208)



7月16日はジェフ・エメリックが仕事を辞める意向を表明した日。
ビートルズとスタッフとの間に険悪な雰囲気がありそれが原因としている。

この資料は正しく状況を把握している。
7月16日にスタッフとの間の険悪な雰囲気のためにジェフは仕事を辞めたのだ。

 


【資料】

1968年7月16日
Cry Baby Cryのレコーディングを集中的に行なった。

この日のセッションの途中でジェフ・エメリック
ビートルズとの仕事をやめてしまった。

日増しに険悪になり張りつめていくグループの雰囲気に耐えられなくなったためだ

(The Complete Beatles Chronicle 1965-1970 P.353)

 


Cry Baby Cryのレコーディング中も前日からの雰囲気の悪さを継続していたのだろう。
ジェフは前日に辞めることを決めていたのだろう。