The Beatles「White Album」いつビートルズは仲違いしたのか。なぜ解散したのか。-118- 【Ob-La-Di,Ob-La-Da】
【 Ob-La-Di,Ob-La-Da 】 -18-
世間の評価とメンバーの評価の乖離について。
○
【資料】
残りのメンバーを来る日も来る日もつきあわせた。
それだけの価値はあったのだろうか?
ビートルズのキャリアの中で、これほどはかない曲のために
これほどの時間が費やされた例はめったにない。
(ビートルズ全曲解説(ジョン・ロバートソン) P.128)
:
ハテナマークとしている。この資料の筆者には刺さらなかったようだ。
はかない曲としている。普遍性はないということだろう。
○
【資料】
一度聴いたら忘れられないような人を引きつける決めをもっていることは確かだ。
(ビートルズ全曲解説(ティム・ライリー著) P.299)
:
魅力があるとしている。
キャッチーであるということだろう。
○
【資料】
このアルバム中、群をぬいてあらゆる意味での傑作
どこをおしたらこんないい曲が出来るのかきいてみたい
(ビートルズ現役時代「ミュージック・ライフ」記事 1968年末)
:
限りない賞賛を捧げている。。
ポールも時間をかけて録音したかいがあった。
○
【資料】
「Revolver」「Sgt. Pepper's」も最高でしたが、
才能、経験、状況、心境などビートルズをとりまくものすべての
最高期の接点がこのアルバムである
(ビートルズ現役時代「ミュージック・ライフ」記事 1968年末)
:
同じ記事で「ミュージック・ライフ」がWhite Albumのアルバム評を記載している。
White Albumは「Revolver」「Sgt. Pepper's」を超えて、最高傑作としている。
○
【資料】
最高の個人的なお気に入り
(New Musical Express 1968年11月9日号)
:
これはWhite Albumのリリース前のアルバム評。
ここでも最高の賛辞を送っている。
White Albumは発売当時から海外でも日本でも評価が高かった。
そして最高の人気曲はOb-La-Di,Ob-La-Daだった。
○
【資料】
ヨーコの影響でアート志向が特に強まっていたジョンは
このひたすら陽気な曲がいやで仕方なかった
ジョージも嫌気がさしていた
(レコード・コレクターズ 2018年 12月 P.78)
:
時代精神を重んじる二人にはこの曲の陽気さが嫌だった。
ジョンもジョージも嫌っていた。
ジョンとジョージの評価と世間の評価との乖離がある。
ジョンとジョージは時代精神という評価軸を持ち始めていた。
それまでのビートルズにはなかった価値観だった。
新しい価値観に自覚的なジョン、ジョージと無自覚なポール。
時代精神に則った曲をやりたいジョン、ジョージと、この曲を至高とするポール。
同じバンド内に価値観の異なる2つのグループができた。
ポールが時代精神のない曲ばかりを作っているわけではない。
他の曲はアヴァンギャルドで最先端の楽曲ばかりだ。
ポールは無自覚というだけである。
しかし自覚的なジョン、ジョージにとっては物足りないものに思えただろう。