The Beatles「White Album」いつビートルズは仲違いしたのか。なぜ解散したのか。-297- 【Back In The USSR】
【 Back In The USSR 】 -10-
ポールはなぜリンゴの気持ちがわからないのか
○
【インタビュー】
ポール
リンゴがBack In The USSRのドラムをこなせなかったときは
かなりカチンときてね。それで自分でやったんだ。
他人がうまくできないことを
ちゃんとやってのけるってのは妙なものだ。
「何だよ、少なくとも助けにはなってるだろ」ってね。
で、そこにパラノイアが入り込んでくると、
「あいつに見せ付けてやる」ってなる
(ビートルソングス P.134)
:
ポールはリンゴがドラムを要求通りにこなせなかった時に
激怒したことを覚えている。
激怒したから自分で叩いたと、このインタビューで話している。
他人ができないことを自分がやってのけることについても語っている。
それは気に入らないかもしれないがあなたも助かったでしょう。
あなたにとっても利益はあるでしょう。
ポールはそういう時に精神的に少しおかしくなった時には
自分がうまく出来ていることを相手に「みせつけてやる」と語る。
相手を見下し傲慢な気分になることを打ち明けている。
ポールには相手とうまくやっていこうという気持ちが少ないことがわかる。
○
【インタビュー】
ポール
リンゴはデヴュー・シングル(Love Me Do)から外されてしまった。
その決定を受け入れるのはものすごく辛かった。
「リンゴがドラマーでなきゃ困る。僕らは彼を失いたくない」
って言ったんだ。
だけどジョージ(マーティン)は譲らなくて結局リンゴは
デビュー・シングルで叩けなくなった。彼がやったのはタンパリンだけだ。
リンゴはずっとあの痛手を乗り越えられなかったと思う
(書籍 The Beatles Anthology P.76)
:
このインタビューは1stシングル「Love Me Do」でリンゴがドラムを
叩いていないことについてのインタビューだ。
ポールはリンゴがドラムを外されたことをすごく辛かったと話す。
リンゴを失いたくないと訴えたと話す。
リンゴが1stシングルでドラムを外されたことは、リンゴがバンドを
脱退することもあるくらいの大きな出来事であったことがわかる。
そのことをポールは完全に理解している。1stシングルでドラムを
叩いていないことでリンゴが深く傷ついたことを知っている。
その後もずっとリンゴが傷ついたままだということを知っている。
リンゴはずっと乗り越えられていないと語る。
それなのに、なぜポールはリンゴのドラムを叩くのか。
ポールは理屈ではすべてわかっている。
人の気持ちがわからないわけではない。
全てわかっている。
ポールは人付き合いに重きをおいていない。
自分の願望を優先する。
○
【資料】
ポールがドラムを叩いた曲
1 Revolution 1
2 Don't Pass Me By
3 Revolution 9
4 Blackbird
5 Everybody's Got Something to Hide Except Me and My Monkey
6 Good Night
7 Ob-La-Di,Ob-La-Da (★)
8 Revolution
9 Cry Baby Cry
10 Helter Skelter
11 Sexy Sadie
12 While My Guitar Gently Weeps
13 Hey Jude
14 Not Guilty
15 Mother Nature's Son ★
16 Yer Blues
17 What's The New Mary Jane
18 Rocky Raccoon ★
19 Wild Honey Pie ★
20 Back In The USSR ★
21 Dear Prudence ★
★:ポールがドラムを叩いた曲
:
ポールは次の録音曲であるDear Prudenceを含めて
4曲連続でドラムを叩いている。
Dear Prudenceでようやく気がついたのだろう。
リンゴを追い詰めていることに気づきドラムを叩くのをやめた。
リンゴが脱退を宣言したから気づいた
バンドからドラマーがいなくなってしまう。
「何だよ、少なくとも助けにはなってるだろ」とは思ったが
ドラマー不在という困ったことになると考えたのだろう。
○
【資料】
左利きの人は右脳が優位半球となっているので、右脳的な特性が
強くなる。
インスピレーション豊かな人や芸術肌の人が多い。
一方、理解力や論理的な能力、他者との疎通性には難点を生じやすい。
手先は器用だがコミュニケーションが苦手な傾向がみられ、
友達が少ないと指摘されている。
感情的で短気な傾向がある。
(真面目な人は長生きする P.95)
:
ポールは左利きだ。
ポールはとても外交的で社交性に優れているようにみえる。
でもポールの友達としてジョン以外に誰か思いつくだろうか。
ポールはマニュアルとして社交性を得ているだけではないだろうか。
他者との疎通性に難点、コミュニケーションが苦手、友達が少ない
感情的で短気、ポールはそういう人ではないだろうか。
ポールの左利きの特性がバンドに不協和音を立てているのではないだろうか。
少なくともこの時点でバンド内でリンゴとジョージはポールと対立している。