The Beatles「White Album」いつビートルズは仲違いしたのか。なぜ解散したのか。- 95- 【Good Night】
【 Good Night 】 -17-
Esher Demos(イーシャー・デモ)の目的は何か
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【資料】
ジョージの家に集まって、曲を開陳し合い意見交換をし、
曲を練りつつ録音した。
プリプロダクションのデモ録音だが、こういうこともそれまでのビートルズ
にはなかった
(レコード・コレクターズ 2018年 12月 P.70)
:
セッション前のデモ作成。今までのビートルズにはなかったことだった。
いつもはスタジオにてアレンジを検討していた。
White Albumではアレンジの検討をセッション前に終わらせていた。
アレンジはEsher Demosでしていた。
そのEsher Demosでは沈痛な趣が全くない。
驚くくらいの楽観と陽気さにあふれている。
この楽観はどこから来ているのだろうか。
ビートルズに何があったんだろうか。
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【インタビュー】
ジャイルズ・マーティン
「ホワイト・アルバム」は、先生だった父(ジョージ・マーティン)に対して
生徒が反乱し暴動が起きた状況でつくられた。
だから直感的でエネルギッシュな作品になった。
(レコード・コレクターズ 2018 12 P.92)
:
ビートルズは叛乱をおこしていた。
ジョージ・マーティンへの叛乱だった。
Esher Demosを作成することでビートルズにとって何が変わるのか。
それは一点しかない。ジョージ・マーティンの関与がなくなることしかない。
デビューからビートルズはジョージ・マーティンによって商品化されてきた。
多くの人に受け入れられるように形を整えられてきた。
そのジョージ・マーティンへの叛乱。
主導は当然、ジョン・レノンだ。
ジョンは前作「Sgt. Pepper's」のプロデュースに不満がたまっていた。
自分の趣味ではない音への誘導。
自分が作った自分のバンドで他人が自分の趣味でない音楽を
意気揚々と作成しアルバムを作り賞賛されている。
自分が作りたいのはそんな音ではない。
断じてない。自分の音を取り戻したい。取り戻さなければならない。
叛乱。革命を起こすしかない。自分の本来の権利を取り戻す。
自分で苦労して作ってきたバンドだ。
Esher Demosにて感じられる「楽観と陽気さ」の正体は
叛乱をおこした若者の衝動と高揚感の表れだ。