Beatlemania's Blog ~ビートルズ研究~

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The Beatles「White Album」いつビートルズは仲違いしたのか。なぜ解散したのか。-341- 【Piggies】

album「Live In Japan」



【 Piggies 】 -6-

 


なぜジョージは48歳になって削除された歌詞を歌ったのか

 


【資料】

最終ヴァースの前にもうひとつ、レコーディングに
際してまるまる削除されたヴァースがあったが
ジョージのソロ・ライブで復活。
ライブ・イン・ジャパン(92年)でも聞くことができる

レコード・コレクターズ 2018年 12月 P.82)

 


この曲には削除された歌詞があった。
その歌詞は最終ヴァースの前にあった。

最終ヴァースとはジョンが提供した歌詞を含んでいるヴァースだ
その前の歌詞がヴァース一つ分全て削除された。

その削除された歌詞がジョージの日本でのソロ・ライブで復活した。
ジョージは日本でその削除された歌詞を歌った。

 


【歌詞】

最終ヴァース

Everywhere there's lots of piggies
Living piggy lives
You can see them out for dinner
with their piggy wives
Clutching forks and knives to eat their bacon

 


収録ヴァージョンの最終ヴァースの歌詞
このうちジョンが提供した部分が以下の部分

You can see them out for dinner
Clutching forks and knives to eat their bacon

 


【資料】

締めくくりのヴァースも書かれたがレコーディングはされなかった

1991年12月のハリソンとエリック・クラプトンの日本ツアーで
演奏された

(ビートルソングス P.140)

 


1991年12月にジョージは日本でのソロ・ライブをした。
エリック・クラプトンがサポートした。

ジョージのソロ・ライブ・アルバム「Live In Japan」で
削除された歌詞が歌われているPiggiesを聞ける。

 


【歌詞】

収録ヴァージョンでは削除されたが「Live In Japan」では歌われている歌詞

Everywhere there's lots of piggies playing piggy pranks
you will see them on
their trotters at the piggy banks
paying piggy thanks to the pig brother

 


上記の歌詞が「Live In Japan」のPiggiesでは歌われている。
収録ヴァージョンでは削除されたのに「Live In Japan」では歌った。

ジョージはこの削除された歌詞を気に入っていたのだ。
そうでないと収録ヴァージョンにない歌詞をわざわざ歌わない。

このライブは1991年だ。録音してから23年経っている。
23年前のボツにした歌詞を歌うのは思い入れがあるからだ。

ジョージは23年が経って48歳になっていた。
48歳になっても25歳の時に書いた歌詞の気持ちのままだったのだ。

削除された歌詞にはpiggy pranks、piggy banks、piggy thanks、pig brother
「piggy」が多用されている。

ブタのようなイタズラ、ブタのような銀行、ブタのような感謝、
唾棄すべき恥ずかしいくだらないという意味で使っている。

とても強い侮蔑の視線がある。
執拗に繰り返している。

他の部分は幼児語の「piggies」(ブタちゃん)とだけ使われている。
この削除されたヴァースにはジョージの社会への怒りが満ちている。

ジョージは25歳の時の歌詞を忘れていなかった。
ジョージの本心であり誇れるものだった。だから歌った。

ジョージは48歳になっても心は社会への怒りで満ちていた。
反体制だった。

 


【歌詞】

ジョージの手書きの歌詞

It's a pity that the piggies always deal in dirt
having their games for years
they've become experts
pressures they exert from every angle

Everywhere there's lots of piggies playing piggy pranks
you will see them on
their trotters at the piggy banks
paying piggy thanks to the pig brother

ビートルズ・リリックス名作誕生 P.360)

 


ジョージの手書きの歌詞が残されている。
その歌詞には上記の2つのヴァースが書かれている。

上段のヴァースには(3)と番号が打たれている。
下段のヴァースには(4)と番号が打たれている。

ジョージは3番4番の歌詞を書いていた。
この2つのヴァースとも収録ヴァージョンでは歌われていない。

下段のヴァースは「Live In Japan」で歌われている。
上段のヴァースは「Live In Japan」で歌われていない。

 


【資料】

60年代の「pigs」は通常、警官を意味していたが、資本主義のブタを
あらわすこともあった。
歌詞はかなり辛辣だ。
ジョージの原稿には未使用に終わった3番と4番の歌詞もふくまれている。
かなり出来のいい歌詞だ。

ビートルズ・リリックス名作誕生 P.360)

 


60年代の「pigs」は資本主義のブタを表すこともあった。
ジョージはこちらの意味で使ったのだろう。

歌詞は辛辣で出来がいいと誉めている。
68年の社会の空気とジョージの反体制がシンクロしたのだろう。

 


【資料】

アルバム「ライブ・イン・ジャパン」

ジョージとエリック・クラプトン・バンドの一行は
12月1日の横浜アリーナから17日の東京ドームまで6会場で
12公演を行い約25万人を動員した

前半をPiggiesで終えたジョージは一旦引っ込み

ザ・ビートルズ・マテリアル vol.1 P.68)

 


1991年12月ジョージの日本でのソロ・ライブが
CD「Live In Japan」で聞ける。

そのライブは前半をPiggiesで締めくくっている。
Piggiesで前半を終えたジョージは一旦引っ込む。

Piggiesは前半のトリだ。それくらいPiggiesは大事な曲だった。
Piggiesはジョージにとって自信作だとわかる。

25歳のジョージは自信を持ってWhite Album用にこの曲を録音した。
While My Guitar Gently Weepsの後2曲目に録音したのは自信作だったからだ。