The Beatles「White Album」いつビートルズは仲違いしたのか。なぜ解散したのか。-309- 【Glass Onion】
【 Glass Onion 】 -3-
ポールと別れようとしていたというジョンの発言は本当なのか
○
【インタビュー】
Glass Onionではウォルラスはポールだと歌っていますよね
ジョン
あれはジョークだ。あの1行を入れた理由の一つは、ちょっとした
罪悪感があったからだ。
あの頃、ぼくはヨーコと一緒になり、ポールと別れようとしてたからね。
あれはポールに対してとてもひねくれた言い方でこう言ってるんだ。
ほら、ささやかな希望をあげる。幻想をあげる。ぼくは去っていくんだから。
(プレイ・ボーイ・インタビュー1980完全版 P.171)
:
セッションを今までみてきてジョンとポールの仲が悪いところがみつからない。
ジョンとポールはWhite Albumのセッションが始まってからずっと仲がいい。
なのにこのジョンの発言はなんだろう。
オノ・ヨーコと仲がよくなっていたのはその通りだろう。
でもポールと別れようとしていたというのは本当なのだろうか。
そんな場面はこれまで一度もなかった。
ポールとジョージの間には問題があった。
ポールとリンゴの間にも問題があった。
ジョンとマーティンの間には問題があった。
でもジョンとポールの間には問題がない。
このジョンの発言は後で振り返ってのジョンの創作ではないだろうか。
このインタビューは1980年のものでWhite Albumから12年たっている。
以上、今までのセッション中の2人の行動の検討より
この時点でジョンとポールの間に不仲の要素はないとします。
そもそもどうしてオノ・ヨーコと仲がよくなったからといって
ポールと別れなければならないのか。
オノ・ヨーコは恋人でありジョンに混沌と叛乱の精神をもたらした師である。
曲を共作することもある。
ポールはバンドの一員で音楽上のパートナー
一般的に考えて同時進行して問題はない。
オノ・ヨーコが参加した初日からここまでのセッションで
驚くほどオノ・ヨーコはトラブルをおこしていない。
オノ・ヨーコが原因でメンバー間に軋轢が生じたという
エピソードが何一つ出てきていない。
ジョンがポールと別れる理由にオノ・ヨーコはなっていない。
このことも含めてジョンはポールとこの時点で別れる理由がない。
○
この曲は自分たち(ビートルズ)のことをからかっているのである。
ビートルズの神話自体、ジョンにとっては色あせはじめている
(ビートルズ全曲解説(ティム・ライリー著) P.298)
:
ビートルズ自身のことを歌っている。
ジョンは一個人として赤裸々に自分自身を歌うようになった。
デビューからSgt. Pepper'sまで一心不乱に自ら作ってきた
ビートルズの神話をジョンは自ら破壊し再構築している。