The Beatles「White Album」いつビートルズは仲違いしたのか。なぜ解散したのか。 -194- 【Sexy Sadie】
【 Sexy Sadie 】 -16-
録音初日のリハーサル・テイクに残されたオノ・ヨーコの発言について
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【資料】
「ビートルズならもっとまともなSexy Sadieをやれるはずだ」
と言うと、ジョンが場を取り繕おうとして即座にこう答える
「そう、僕ならやれるかもね」
(The Complete Beatles Recording Sessions P.178)
:
録音初日のリハーサル・テイクにオノ・ヨーコの発言が残っていた。
「ビートルズならもっとまともなSexy Sadieをやれるはずだ」
この発言はWhite Albumのセッションでの非常識なオノ・ヨーコの
発言としてビートルズの本で取り扱われている。
セッション中にビートルズのメンバーの前で「もっとまともにやれるはず」
と言うのは信じられないくらいありえない言葉だ。
ビートルズに向かって演奏をもっとよくできるはず、まだまだ達していない。
このレベルではいけないとダメだしをしている。
「Who the fuck do you think you are?」とジョンがセッションの合間に歌った日。
1968年7月19日の録音テープに一緒に残っている。
本当にオノ・ヨーコはビートルズの演奏を物足りないものとして批判したのだろうか
ジョンはその後で取り繕ったとしている。
取り繕ったということは他のメンバーはオノ・ヨーコの発言が気に障り
感情を害した。雰囲気が悪くなったということだろう。
そうであればこの会話の録音時に雰囲気が悪くなりギスギスした状態になったのは
原因はオノ・ヨーコだということになる。
実際、この資料はそう捉えているのだろう。本当に今後4人の関係に
楔をうちこんでいくのはオノ・ヨーコなのか。とても興味深い。
○
【資料】
ジョンとポールとオノ・ヨーコがこの日の録音を聞いている。
ジョン:ジョージ・マーティンがジョージにインターカムごしに話していた
部分はどこだ。たぶん録音されているはずだ。
ポール:そのせいで中断したんだ。
ヨーコがビートルズならもっとうまくやれるはずよ、と言う。
ジョンが俺のボーカルはもっとよくなるはずだと返す。
結局、後日リメイクしようということに決まる。
(That Magic Feeling,The Beatles' Recorded Legacy P.191)
:
ジョンとポールとオノ・ヨーコが録音初日のSexy Sadieのテイクを聞いている。
ジョンはSexy Sadieのセッションがスムーズでないと思い気になったのだろう。
ジョージ・マーティンがジョージとインターカムで話していたことに苛ついている。
ポールはジョンに賛成してジョージ・マーティンが横から口をだすから中断した、
うまくいかなかったのはジョージ・マーティンのせいだと責任を追及している。
ジョンとポールは二人で一緒にスタッフを糾弾している。
当然、雰囲気は悪くなっただろう。
ジョンとポールの二人とスタッフとの間がうまくいっていない。
White Albumのセッションが始まった最初からそうだ。
ジョンとポールの二人とスタッフは対立している。確執がある。
そんな雰囲気が悪くなった時にオノ・ヨーコが発言する。
「ビートルズならもっとうまくやれるはずよ」
このタイミングならオノ・ヨーコの発言は意味合いが変わってくる。
ビートルズの演奏を未熟だと非難する意味ではなくなる。
スタッフと対立して雰囲気が悪くなったからとりなす意味で、もういいじゃない、
もう一度演奏したらもっといいものになるんだからもう一度トライしましょうとなる
オノ・ヨーコがとりなしたおかげでジョンも冷静になり確かにもっとよくなると言い
もっとよくするためにリメイクをしようと前向きな決定がされる。
だからオノ・ヨーコの「ビートルズならもっとまともなSexy Sadieをやれるはずだ」はビートルズへの非難ではなくスタッフとの険悪な状態へのとりなしではないだろうか。