The Beatles「White Album」いつビートルズは仲違いしたのか。なぜ解散したのか。-170- 【Helter Skelter】
【 Helter Skelter 】 -9-
ポールの心境は、ポールを取り巻く状況はどうだったのか
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【年表】
1968年7月15日
Revolution(シングル・テイク) 完成
1968年7月18日
Helter Skelter
第1回録音
1968年7月20日
ポール、ジェーン・アッシャーと婚約破棄
:
第1回録音の時のポールは悲嘆にくれていた。
ポールがあこがれていた上流階級の美しい娘との関係が終わる。
ポールの心は暗く重くなっていたであろう。
そこにジョンのRevolution(シングル・テイク)が完成を見る。
激しく反抗的で挑発的で不遜な演奏と歌だった。
ジョンは社会と正面から対峙して挑戦状を叩きつけた。
ポールもジョンとRevolutionの勢いに押されていくが
ポールの心は暗く重くどんどん落ち込んでいく。
その心境の中で演奏し歌ったのが第1回録音のブルース・ヴァージョンだった。
暗く重く落ち込んでいく気分の中でポールはブルース・ヴァージョンを歌う。
その2日後ポールはTVでジェーンが婚約破棄を発表するのを見たのだろう。
ジェーンは自らTVに出演しポールとの婚約破棄を世間に公表した。
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【年表】
1968年9月4日
Revolution録音
プロモーション・フィルム(PV)・ヴァージョン
1968年9月9日
Helter Skelter
第2回録音
:
プロモーション・フィルムのRevolutionを録音してすぐに
第2回録音でハード・ロック・ヴァージョンを録音している。
Helter Skelterは直接Revolutionから影響を受けた。
アンサー・ソングでありジョンとポールの対の曲だ。
ポールにはもうジェーンはいない。
ポールはジョンとともに新しい世界に進んでいくしかない。
ジェーンのいた上流階級で品位があり整然とした世界はもうなくなった。
新しい世界を作るしかない。混沌と叛乱の世界に突き進むしかない。
ジョンは同時期に妻と別居し恋人であるオノ・ヨーコと同居している。
社会、一般常識に対抗してオノ・ヨーコと共に戦っている。
ジョン自らが混沌と叛乱の世界に飛び込んでいる。
ポールはもうどこまでもジョンと共に行く決心がついている。
その決心はRevolutionの世界を追ったHelter Skelterに見ることができる。
ジョンと共に生きていく決心があるからこそ対の曲を本気で真剣に作る。
この時点でポールはジョンと共に生きる決心をしている。
それはずっと以前からのものであり全く揺らいではいない。
この時以後、ジョンもポールも混沌と叛乱の世界の住人だ。White Albumのコンセプト
というだけではなく現実の人生そのものが混沌と叛乱の世界にのみこまれていく。