The Beatles「White Album」いつビートルズは仲違いしたのか。なぜ解散したのか。-145- 【Cry Baby Cry】

ビートルソングス研究読本

【　Cry Baby Cry　】　-5-

歌詞に王室批判はあるのだろうか

○
【歌詞】

【Cry Baby Cry】

The king of Marygold was in the kitchen
Cooking breakfast for the Queen

The Queen was in the parlour
Playing piano for the children of the King

【マザー・グース】

The king was in his counting-house
Counting out his money

The queen was in the parlour
Eating bread and honey

王様と女王様とのくだりは明らかに「マザー・グース」を下敷きにしている
この王様は16世紀にイギリスを統治していた悪名高きヘンリー8世のことを
歌ったものだという説がある。
ジョンの歌詞は夫唱婦随ならぬ婦唱夫随なのがミソ
当然エリザベス女王夫妻が連想されるところである

（ビートルソングス研究読本　P.11）

：
上の歌詞はCry Baby Cryの歌詞。
下は「マザー・グース」

ジョンの歌詞はマザー・グースを下敷きにしている。
マザー・グースは悪名高きヘンリー8世を歌っている。

ジョンはエリザベス女王夫妻を連想させる歌詞に変えている。
亭主関白ではなくカカア天下としている。

批判まではしていない。
皮肉というものの範囲だろう。

○
【歌詞】

The Duke was having problems
With a message at the local bird and bee

bird and beeとは文字どおり鳥と蜂だが前にlocalとくれば
全然違う意味になる。
localという単語はイギリス名物のパブの枕詞みたいなもの。
おそらくこれはジョンが考えたパブ名だろう

イギリス王政を皮肉ったこの曲のテーマから推測すれば
「性知識のABC」を意味するthe birds and the beesが下敷きになっている

（ビートルソングス研究読本　P.23）

：
他の部分にも王室への皮肉がある。
上記のCry Baby Cryの歌詞の一部

the local bird and beeはジョンの考えた架空のパブの名前
そのパブの名前は「性知識のABC」というもの

○
【インタビュー】

ジョン

ぼくじゃないよ。つまらない曲だ。

（プレイボーイ・インタビュー　1980　完全版　P.348）

：
1980年、この曲を作って12年後にジョンはこの曲を忘れている。
自分の曲ではないと言っている。

つまらない曲と言っている。
作ったことを忘れるほど印象に残っていないのだろう。

ジョンがオノ・ヨーコに影響を受けて
混沌と叛乱、時代精神を歌うようになる前の歌。

社会的主張を歌うようになったジョンにとっては
王室への皮肉程度では刺激のない、つまらない過去の曲なのだろう。