The Beatles「White Album」いつビートルズは仲違いしたのか。なぜ解散したのか。- 74- 【Everybody's Got ~】
【 Everybody's Got Something to Hide Except Me and My Monkey 】 -11-
この曲が目指したものは何なのか
○
【資料】
1968年7月1日
第10テイクがベストとなり、録音が完了した
(The Complete Beatles Recording Sessions P.179)
:
7月1日の録音の第10テイクで一度は完成していた。
この時点で録音されていた音は次のとおり
ドラム:リンゴ
ベース:ポール
ギター:ジョン
リード・ギター:ポール
消防用のベル:ポール
ショカーリョ:リンゴ
この時にポールのシャウトはまだ存在しない。
私はベルと一緒にポールがシャウトしたのだろうと思っていた。
○
【資料】
7月23日にジョンはボーカルを録り直した。
リダクションして第12テイクを作成。
2番目のボーカルトラックを追加
たくさんのシャウト、手拍子、そしてタイトルに続くスネアドラムを追加
(That Magic Feeling,The Beatles' Recorded Legacy P.193)
:
7月23日、一度は完成していたこの曲に再び手を加える。
まず、ジョンはリード・ボーカルを録り直す。
次に「2番目のボーカルトラック」を追加。
これはジョンのバック・ボーカルだろう。
そして「たくさんのシャウト」を追加。これはポールの全編に聞こえる
短いシャウト(悲鳴なのかコーラスなのか合いの手なのか)だろう。
つまり、一度完成していたこの曲にはポールのあの切羽詰まったシャウトはなかった。
この曲を決定づけていた音の一つである消防用のベルは既に存在していた。
だが、ポールのあの不穏なシャウトはなかった。
あのシャウトは意図的に周到に演出されたものだった。
7月1日の完成版ではジョンは物足りなかったのだろう。
「混沌と叛乱」には物足りない。まだ足りないと考えたのだろう。
そこで大幅に録音を変更し追加した。
自分のボーカルをさし替え、バック・ボーカルとポールのシャウトを追加した。
ジョンの頭の中にあった音にはポールのシャウトが必要だったのだろう。
ジョンとポールの通じ合う意識の中であのシャウトは生まれたのだろう。
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【資料】
レノンのラウドなニューバージョンに変わる。
(The Complete Beatles Recording Sessions P.179)
ジョンのメチャクチャなロックナンバー。
(The Complete Beatles Recording Sessions P.172)
:
ジョンはボーカルを取り直してよりハードにしている。
ポールのシャウトを加えて不穏な革命前夜のRock'n Rollは完成した。
ジョンとポールの2人による「混沌と叛乱」は現出した。
この曲はRevolution 9のハード・ロック版である。
○
【年表】
1968年7月1日
ポールのベース
ジョンのボーカルをオーバー・ダブ
ハンドベルとショカーリョをオーバー・ダブ
1968年7月23日
ジョンのリード・ボーカルを録り直し
ジョンのバック・ボーカルとポールのシャウトをオーバー・ダブ
手拍子とタイトル後のスネアをオーバー・ダブ
完成
:
ザ・ビートルズ 「ホワイト・アルバム」
:
年表はこのようになる。
この空いた22日間に、よりハードにするアイデアが湧きあがったのだろう。